サンガジャパンVol.24(2016Summer)

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発売日:2016年8月28日
監修:永沢哲
ISBN:9784865640625

特集 チベット仏教

今、改めて概観する チベット仏教の現在 (編集部)

 宗教学者の永澤哲氏の監修のもと、チベット仏教を一から知りなおし、今現在の様子を伝える、総特集。
ジョブズの禅や、医療・ビジネス分野におけるマインドフルネスに代表されるように、欧米での仏教の広がりと影響を知りつつある。
 仏教は、同時代の新鮮な精神の潮流として捉えられているといってよいのではないだろうか。
 武蔵野大学のケネス・タナカ教授は『目覚める宗教』(サンガ新書)のなかで、アメリカの仏教への入り口を瞑想を中心に見たときの系統をテーラワーダ、禅、チベットの三つ分類している。ダライ・ラマ14世の活躍はもちろん、チョギャム・トゥルンパなどを通して欧米に渡ったチベット仏教は、今現在の精神潮流に深く大きな影響を与えているのだ。
 では、テーラワーダ仏教を知り、禅に親しむ私たちは、チベット仏教について何を知っているのか。改めて問うべき時期にきているはずである。
 一時のブームから時を経て、今改めてチベット仏教の現在を、本書は概観する。
 哲学から文学、修行の体系、文字の読み方、そして現在日本で活動するチベット仏教のサンガ(勉強や修行のグループ)の紹介にいたるまで、多岐にわたる内容を一冊に収録。チベット仏教の今がここにある。

                  * * * * * *

 序 文 (永沢哲)

 チベットの行者の朝は早い。三時前に起き出すと、最初の一座をすわる。一座は三時間くらい。それから、ヒマラヤスギやヨモギの葉を燃やし、よい香りのする煙を、三宝や土地神、精霊たちに供養する。終わったら、朝食だ。乾いたヤクの糞で火をおこし、お茶を沸かす。ヤクは、標高三千メートル以上の高地で、風雪に耐えて成長する高山植物や薬草を食べて育つ。白い煙は、とても心地よい香りがする。瞑想の修習は、一日に四座。あいまに勤行をし、お経を読み、食事を作る。就寝は、たいがい九時半を回る。
 僧院で、学問をする僧侶たちの生活も、あまり変わらない。夜明け前に起き出すと、帰依と懺悔の言葉を唱えながら、裸足で五体投地の礼拝をくり返す。東の空が白みはじめると、本堂に集まって朝の勤行をし、朝食をとる。経典の学習と暗記は、夜遅くまで続く。
 こうしたルーティンは、チベットにインドの仏教が本格的に移植されはじめた八世紀から現在まで。ほぼ変わらずに保たれてきた。仏教には、仏典の学問と修習による悟りという二つの柱がある。そんなふうに考えるインド仏教の伝統に、チベット人たちは、たいそう忠実であろうとしてきたのである。
 八世紀に新しく創られたサムイェの僧院では、インドや中国からはるばるやって来た学僧や禅僧たちが、チベット人の訳経僧たちと問答を重ねながら、厖大な量の経典の翻訳作業にいそしんだ。一方、サムイェから五、六時間歩いたチムプ―やヤマルンに新しく開かれた行場では、ごつごつした岩山の急な斜面に散在する洞窟の中で、新しくチベット語に訳された経典をもとに、密教の瞑想修行を続けられた。
 インドからの新しい仏典や瞑想技法の導入は、ほぼ十三世紀までつづいた。インドにおいて二千年近くにわたって育まれ、成長した顕教、密教の哲学や瞑想技法、因明(論理学)などの知恵の伝統は、白い雪の冠をかぶった神々の山に囲まれ、深い青に澄みわたった天空に近く生きるチベット人の精神の大地に移植され、大きく開花した。
 この本は、そうしたチベットの仏教のエッセンスを取りだすことをめざしている。
 ブッダの教えは、難解な仏典を学ぶ学僧や、一生瞑想修行に打ち込む行者たちだけのものではなかった。絵や音楽、踊り、物語、オペラ劇といった芸術の様式をつうじて、チベット人の心に深く根を下ろしてきた。
 それだけではない。二十世紀になって、欲望によってつき動かされる資本主義とテクノロジーに覆われた世界と、本格的に接触するようになった、チベット人やブータン人たちは、仏教の深々とした伝統を土台にしながら、新しい科学と対話し、人類が直面する問題を乗り越えていくためのヴィジョンを、提示しようとしてきた。あるいは、映画をはじめとするポップ・カルチャーをつうじて、現代を生きるじぶんたちの感覚を表現してきた。
 本書は、その全体を描き出そうとする、ささやかな試みである。

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